いつのまにか6月も終わりに近づく。
季節に記憶は刷り込まれているようで、毎年この時期になると元カレを思い出す。もう15年以上前のことなのに、いやにハッキリとした記憶。
わたしの3歳(推定)からの幼馴染けーちゃんの誕生日を避けた記念日。
梅雨寒で着ていた6月の自分の長袖のジャージ。
付き合って1ヶ月もしないうちに少女漫画のようなファーストキス。彼からしたらカッコつけたかったはずの1度目のチャレンジ、わたしが天然かましてあえなく失敗だったろう。
「目つぶって」に「なんで?」と答えた無知なわたし。今考えればアホ。2度目に至っては、好きな人が言うんだからとりあえず目をつぶっとく?って警戒心ゼロ。ほんとうにアホ。10代半ばにもなって無知にも程がある。少女漫画大好きだったのになぜそうなった。
こうしたら喜ぶだろうかと、空気だけ読んで不意に手を繋いでみる自分。
父親がDVする機能不全家庭で、長子のわたしが空気を読み、あえて空気を破壊するという経験がしっかり活かされ、予定通り彼を喜ばせた。
身を守るため天然を養殖した結果、庇護されるのに扇情的な天然爆誕。
守ってあげなきゃって思わせる弱さを出しながら煽るもんだから、相手も大混乱だったと思う。10代の欲深さ、やっと推測できるようになった。遅すぎるね。ごめん。
無意識の自分の発言は覚えてないけど、あえて言った天然のようなフレーズは今も結構覚えてる。当時は計算ってばれないキャラだった。だって今考えればわかることが、ほんとにわからなくてよくキョトンとしていたから。
夕暮れ時、帰したくないと引き寄せられた力の強さを感じて、ああ男の人には勝てないんだなという恐怖を初めて知った。この自分の気持ちに気づくのは数年後だけど、男性恐怖症の原因はおそらくこれ。(それと後述する無理して繰り返した自分の意思のないキス。)
この事象があったリアルタイムでは、「え?時間だから帰るよ?」としか思ってなかった。
何日か後に宗教を理由に振られたわたし。しかし情緒不安定で泣いたのは彼だった。
別れて寄りを戻すを繰り返した。その頃から、彼との接触が怖くなった。当時は理由が分からなかった。
力の差に加えて、欲を満たしたら捨てられるのかと刷り込まれたようだった。別に襲われたわけではなかったけど、キスまでしたのに突き放されたように感じたのだろうと今なら思う。
そのうち、学校のおじさん先生を見るだけで泣きそうな恐怖に襲われることもあった。
どうやら異性を感じることが無理だったようで、筋肉のつきかたが女の自分と違うということを意識した結果みたいだった。誰にも言えなかった。ずっと怖かった。
彼のことはずっと好きなのに怖くて、当時はなんで怖いかわからず泣いた。付き合ってるときは震えながらキスに応えた。大丈夫って言わないとダメな気がして、こわいのに目をつぶって震えながら受け入れた。
もう付き合わないと自分の中で線を引き、彼とは友達に戻った。なんとなくうまくいった気がしてた。
その後に知り合う同級生男子に対しては、自分のことを好きになるわけないという、訳のわからない自信を持ち異性と関わることに臆さなくなっていく。まあこれはこれでよくなかったな、と思うけど別のお話にしよう。
ちなみに友達に戻った彼は、もう連絡しない宣言した数日後に連絡してきたり、誕生日は0:00に祝われ続け、結婚報告、子供が生まれた報告があったりとやばいやつが悪化してブロックした。
連絡が来なくなって数年がやっと経った。LINEのブロックはさりげなく解除して非表示リストにまだ残している。いつかトドメを刺したいとは思う。
わたしがいつか満足したら昇華されるだろう記憶だけど、あまりに眠れないもんだから書き起こしてみた。
駄文乱文散文だけど、今のわたしを作り出した濃かった数年の恋に恋してた時代の話おわり。