誰かに取られたくないとか、この人を他の人に触れさせたくないとか、自分のことだけ考えてたらいいのにとか、ちょっとした独占欲が持てたらよかったのに。
純粋で人を信じやすいから疑わないのではなく、不安になって疑うほどの好きは持ってないだけで。
好きな人の好きという一言が欲しくてたまらなかった14歳のわたしは、いつのまにか擦れて消えてしまった。
触れるという選択肢がないのはあの頃のままだけど。
ずっと物語の中の話だと思ってる。好きな人に触れるというのはわたしには現実味がない。抱き合う先にどんなものがあるのか今もわからない。
男の人の目の奥の揺らぎは欲望の燃える陽炎なのかなと怯える。こわい。本人に自覚のない目の光が変わる瞬間が。興奮した時、吐く息が熱くなってることには気づいているのだろうか。
勇気を持って手に触れてみてもわかんなくて、自分の欠落したものを拾い上げることができない。
手を離したくなかった理由は、その時間が続けばいいと思ったからで。触れることを当たり前にするにはわたしには時間が足りなかった。
湧き上がる感情が足りない。絶対的に。わたしには誰かを満たすことができないという事実が自信を持たせない。
消えてしまいたくなる。巡り巡って好きになれたって、頑張って縋ってみたって無理するだけで自分すら幸せにできない。
大事にされることは慣れてるのに、大事にする方法がわからない。